障害者雇用の状況は?
障害者雇用はこれからの日本を助けるものである
進む障害者雇用
平成28年度、ハローワークでの障害者の求職申し込みは19万1,853件あり、実際にハローワークを通して就職した障害者は9万3,229人で、過去最高となりました。つまり就職率は48.6%となり、8年連続で上昇していますが、まだ受け入れ先企業の数は十分とは言えず、これからさらに障害者の雇用機会を増やしていくことが重要とされています。
そのために国は、障害者雇用促進法に基づいて障害者雇用率制度を制定し、雇用者数の2.0%を障害者雇用とすることを企業に義務付けました。これによって、平成28年6月1日付のデータでは雇用されている障害者の数は約47万人となり、過去最高となりました。
仕事をする目的は収入を得るためであったり、自己実現のためであったりと様々ですが、自分の役割を果たすことによって誇りを持って生活できるという側面もあるはずです。障害のある人も働くことを通して、その人らしい自立した生活を送ることができるよう、障害者雇用の進展は官民一体となって目指していきたい課題です。
具体的な施策について
障害者雇用をさらに進めるために行っている障害者へのサポートについてご紹介します。
まず、一般の職業能力開発施設での訓練は難しいという障害者の方向けに、それぞれの障害の状態に合わせた職業訓練を受けることができる障害者職業能力開発校があります。また、企業やNPO法人、民間教育訓練機関などでも柔軟なカリキュラムが用意されており、企業が求めている能力を身に着けて就職に結びつけることができる体制ができています。
各省庁、各自治体では、1年~3年の業務経験を積んでもらいハローワークなどを通じた一般企業への就職につなげることを目的とした「チャレンジ雇用」という非常勤職員としての雇用も推進されています。
また、障害者総合支援法による「就労移行支援」と「就労継続支援」も実施されており、前者は一般企業への就労を目指した訓練、後者では事業所内にて生産活動の機会を提供し、知識や能力向上のためのサポートを行っています。
これからの日本になくてはならない人材
日本は今後超高齢化社会に突入していき、高齢者と生産活動を担う世代のバランスが崩れてきています。そんな中、各業界で人材不足が叫ばれているのが現状であり、これからさらにその状況は加速していくものと思われます。そこで注目されているのが障害者雇用です。従業員不足の状態では、過剰な業務の負担により精神疾患を持つ人が新たに増えてしまう恐れがあるため、新たな人材発掘が急務とされています。障害者の雇用についてあまり深く考えていないという企業も多くありますが、こういった時代背景を鑑みると、単に国で定められた比率を守るために雇用するのではなく、人材不足解消に一役買ってくれる大切な存在として認識することがキーポイントになっていくでしょう。